働き方・働く場の研究と視点

KNOWLEDGE

自分にも人にも優しい、まっとうな働き方を考える

2022.4.20
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2020年より続くコロナ禍を経て、
私たちは働き方の転換点に立っています。
「柔軟な働き方」が社会に一気に浸透したなか、
健康や、人とのつながり、地球環境に配慮するなど
これまでにない新たな価値観を持つようになった人も多いことでしょう。
2022年4月に発行された『エシカルワークスタイル』は、
オカムラ ワークデザイン研究所の研究結果や有識者との対談を交えながら、
自分にも他者にも、そして地球環境にとっても
優しい働き方とは何かを追求していく一冊です。
POINT:
・「エシカルワークスタイル」とは「働く」をまっとうに、かつ倫理的に考えた、自分にも人にも優しい働き方のことである。
・「エシカルワークスタイル」について考える際には「健康」「利他・ダイバーシティ」「地球環境」の3つの視点が必要である。


「エシカルワークスタイル」とは?

2022年4月20日、『エシカルワークスタイル 自分にも人にも優しい働き方を考えてみる』が日経BPより出版されました。本書では「人や社会が幸福になり、豊かになる活動を推進する働き方」を「エシカルワークスタイル」と定義し、自分にも人にも、地球にも優しい働き方を実現する方法をさまざまな角度から提案しています。

これまでの経済活動は「より効率的」で「より経済的」であることが最優先され、そのために他者の権利や尊厳が犠牲にされる場面も見受けられました。しかし、気候変動、コロナ禍、格差社会といったさまざまな問題へ目が向けられるようになってきたなかで、経済成長のために手段を選ばない企業や組織は淘汰されつつあります。
こうした社会の状況をふまえつつ、2011年より柔軟な働き方について研究してきたオカムラでは、これからは働き方も「エシカル」であるべきだと考えています。
「エシカル」という英語の直訳は「倫理的な」という意味です。それでは、働き方における「エシカル」とは一体何なのでしょうか。オカムラでは、「健康」「利他・ダイバーシティ」「地球環境」の3つの基準が、その働き方が「エシカルであるかどうか」を判断する際には重要だと考えています。


自分にも人にも優しい
「エシカルワークプレイス」

ワークプレイス(オフィスを含む、あらゆる働く場)においても、経済活動・利益を最優先にするのではなく人間中心(働き手/生活者目線)のエシカルな空間にしていくと、もっと働きやすくなるのではないでしょうか。
エシカルワークプレイスにおいては、働き手の体調やストレスに配慮し、個々の性格的・身体的特徴にもできるかぎり柔軟に対応した「人に優しい」オフィスづくりを目指します。その空間が「エシカル」な場所であるか、次の3つの基準をもとに判断していきます。
1. 「健康」に配慮したワークプレイスになっているか?
2. 「利他・ダイバーシティ」に配慮したワークプレイスになっているか?
3. 「地球環境」に配慮したワークプレイスになっているか?
これら3つの条件を満たして初めて、その空間が「エシカルワークプレイス」であると言うことができます。

組織が抱えるオフィスや働き方の課題において、これまでは多くのオフィスがコスト効率、生産性を優先していました。ワークプレイスにおいても、生産性や利益を重視したつくり方が多く見受けられました。
しかし、これからはエシカルワークスタイルの3つの判断基準を最優先したつくりにしていくことが望ましく、それをデザインコンセプトにも反映させ、まずは人に優しい理想的な環境をつくります。そのうえで、効率や生産性を考慮してデザインの調整を行っていくとよいでしょう。
これが、自分にも人にも、地球にもやさしいエシカルワークプレイスのつくり方なのです。


本書の構成

ここまで、「エシカルワークスタイル」と「エシカルワークプレイス」について解説してきました。本書では、この言葉の理解をさらに深めるために、ここまでに解説してきた要素に加えて「ルール(勤務制度・啓発活動)」「ツール(DX・家具)」「空間(レイアウト・素材)」の3要素を対象にしながら、ワークプレイスを整備する方法を具体的に提案しています。

そのうえで、「価値観評価」「都市・建築」「副業・複業」「インタラクションデザイン」「ソーシャルイノベーション」といったキーワードを含めつつ、下記のように構成しています。

『エシカルワークスタイル 自分にも人にも優しい働き方を考えてみる』の目次

第1章
まっとうな働き方のためにワークプレイスを作り替える
<エシカルワークスタイル エシカルワークプレイス>
第2章
働き方の目線で理想像を描き時代にあったルールと場所を
<柔軟な働き方 テレワーク 勤務制度>
第3章
働き方もキャリア形成も選択肢が広がる時代に
<リカレント教育 サバティカル休暇>
第4章
場所の分散が企業・働き手と社会の関係を緊密にしていく
<アクティビティ・ベースド・ワーキング ライトサイジング サードプレイス 半建築 VR コミュニケーションモデル>
第5章
もうひとつの「業」を持つ意味。複線的な生き方の道が開けてきた
<副業・複業/本業>
第6章
エシカルなスタイルの未来 人間と環境の融合 "利己"からの脱却を
<ICT インタラクションデザイン ソーシャルイノベーション エコ>
第7章
社会課題を解く「成長」のためにエシカル意識は経営と不可分に
<健康経営 サステナビリティ経営>
また、各章のテーマにまつわる有識者へのインタビューや対談も収録し、さらに考察を深めています。有識者として、下記の方々に参加していただきました。
・東京女子大学 正木郁太郎さん
・東北大学 本江正茂さん
・サイボウズ 松村克彦さん
・明治大学 渡邊恵太さん
・アースカンパニー 濱川明日香さん・濱川知宏さん


オカムラ ワークデザイン研究所
からの提案

「健康」「利他・ダイバーシティ」「地球環境」の3つの視点を取り入れた「エシカルワークスタイル」は、人と社会、そして地球を持続可能にする、これから必要とされていく働き方です。私たちは経済的な利益よりもエシカルであることを優先させる覚悟をもって臨んでいかなければなりません。その黎明期のいま、本書が次の一歩を踏み出すための案内役となることでしょう。


本書は全国の書店やAmazonでお買い求めいただけます。
『エシカルワークスタイル 自分にも人にも優しい働き方を考えてみる』
1,800円(税抜)
著者:池田晃一
出版社:日経BP
発行日:2022年4月20日
単行本:224ページ

Text & Edit: 吉田彩乃
Illustration & Infographic: TYPEFACE
Production: Plus81 inc.