
IHI様は、航空エンジン事業の効率的推進のため、業務の生産性向上を目指すべく、昭島事務所東棟を建設しオフィス集約移転を実施しました。移転後オフィスでは、「賢さ」、「強さ」、「しなやかさ」をコンセプトに、"各部署の力を掛け合わせ新たな価値を生み出すこと(賢さ)"、"各部門の業務の標準化や効率化(強さ)"を目指しています。また、社員が今まで以上に働きやすい・活躍できる環境を作ること(しなやかさ)を目標に掲げています。
1Fは、社員のリフレッシュ&交流のためラウンジ・売店を設置し、また、来客者とのちょっとした打ち合わせの場としても活用できる場となっています。
2~5Fの執務フロアは、将来のグループアドレス導入を見越して、その日の仕事内容に沿って場を自由に選択できるような働き方を採用しました。オフィス空間は執務エリアを中心に、窓側にミーティングエリアや集中エリアを配置し、部署間の交流を促すユーティリティ機能としてコピーコーナー、情報交換コーナー、モバイルロッカーなどを中階段回りに集中配置しています。また、各フロアとも人員増減・組織変更に対応しやすい可動式の執務什器で統一しています。
オフィスデザインには、航空・宇宙事業らしさを考慮したデザインを取り入れ、各フロアのテーマカラーに「空」を採用しています。"IHIらしさ"を表現しながら、色で自分の居場所(フロア)を確認できるという、アドレスとしての役割も果たしています。
プロジェクトの詳細
所在地: 東京都昭島市拝島町3975-18
オフィス対象面積: 10,000㎡
オフィス対象人員: 約770名
インテリア竣工: 2019年 3月
デザイン担当: オカムラ・木和田 真理/岩崎 真弥
1F エントランス
IHI様のコーポレートカラーを使用したシンプルな空間。
1F ラウンジ
イス・チェアパッドに取り入れた「曙」色。
1F ラウンジ
大人数での会議・懇親会にも対応する、階段ベンチや可動式什器。
1F ラウンジ ファミレス席
ラウンジにも用意した、こもれるファミレス席。
1F 来客会議室
どんな来客にも対応できるシックな来客会議室。
1F 応接会議室 -1(Debate)
部屋ごとに床材を変更。会議内容に合わせて部屋を選び、色の心理的作用を促す。赤の床材は“活発な会議”。
1F 応接会議 -2(Commit)
青の床材は“落ち着いた会議”。
執務室全景
執務エリアは1,400mm角のテーブルでグループアドレスを導入。サインにはデザインコンセプトの「空の色」。
情報交換エリア -1
各フロアに可動テーブル(左)やタッチダウン席(右奥)など、社員同士の交流を促すエリア。
情報交換エリア -2
造作家具のラウンド型ベンチを利用し、可動テーブルのレイアウトを変更した場合。
ワードローブ/個人ロッカー
情報交換エリア近くに個人荷物の収納機能を配置。自然と人の行き来・交流が生まれる。
窓側エリア ブース
窓側に設けた半個室のブース。1on1や少人数でのミーティングに対応。
窓側エリア ブース
誰が何の会議をしているのかが明確なガラスの会議室。壁には音の反響に考慮した吸音パネルを設置。
窓側エリア ブース
オフィスコンセプトを受けた衝突防止サイン(左奥はトンボ、右は恐竜)。
社内会議室
社内会議室は、イスの色で空の色を表現。写真は西側にある会議室のため、夕方の「黄昏色」に近い、イエローのイスを配置。
デザイナー
岩崎 真弥
IHI様の航空・宇宙防衛事業の方々のオフィスということで、全体デザインコンセプトは「変化する空の色」に決めました。執務エリアではサインや、造作家具などをアクセントカラーに、1Fラウンジでは什器に「空の色」を割り当てるなどし、その表現の仕方にとても悩みながらお客様と決めていきました。
サインは「誰もが見やすいこと」、「空の色(=淡い色)・空の要素」に、造作家具は「空の色」を表現できる表装材を探し当てるのに苦戦しました。1Fラウンジでは、良い意味で「IHIらしくない」内装を希望され、他拠点とは違うインダストリアルな内装にアクセントとして「朝空の色(=曙)」の什器を選定しました。
妥協せず、もっと良いデザインはないか、表装材はないかを時間をかけてお客様やPM担当者と考えてオフィスを作り上げましたので、デザイナーとして愛着がわくオフィスになりました。お客様が入居された後、オフィスに対してもっと愛着を感じて頂けていたらとても嬉しいです。

木和田 真里
IHI様の働き方や特性を考慮しながら、よりよいオフィス環境となるよう幾度となく打ち合わせを重ねました。そのこだわりは、レイアウトや什器、色などあらゆるところに表れています。
今回のプロジェクトの特徴は、各部門に対し“決められたエリア内で自由にレイアウトを行っても良い”と預けた点です(レイアウト上のルールは設けています)。社員の方自らが、“自分が入居するエリアはどういう「場」であるべきか”を検討し、みんなで作り上げていきました。ただ、レイアウト計画を各部門に預けたことでルールの再検討・調整が必要となり、まとめ上げるのがとても大変でした。
しかし、時間をかけて妥協することなく作り上げたことで、私たちデザイナーはもちろん、担当者の方や入居される部門の方たちにとっても愛着の湧くオフィスに仕上がったと実感しています。
働く場のセッティングはとても重要ですが、その環境・意匠に対して「好き」「嫌い」ではなく、“愛着を持てるかどうか”を再認識できたプロジェクトだったと感じています。